◆人生でもっとも大切なこととは
勉強ができたのに社会にでるとパッとしない塾生を見てきた。才能があるのに発揮できずにいるのをみると残念に思ってきた。
この原因は何か?最近読んだ「知より情だよ 渡辺淳一 著」から、はたと気づいた。
この本の「鈍さは才能」中で「それなりの地位についた人は、みな大なり小なり鈍感である。むやみに他人の目を気にせず、いい意味で自己中である。」「鈍感であることは立派な力である。」と述べている。
「鈍感力は、一般の企業でも同じである。上司に小言をいわれても、ときに厳しく叱られても、とにかく謝り、翌日はまた元気に出社する。こうした復元力がなくては勤まらないし、生き延びていけない。」
「日本人はひ弱で、敏感になってしまったのか。その最大の原因は小さいときからさまざまな人間と接せず、一人一人過保護に育てられて自室に閉じこもり、勉強かゲームしかしてこなかったからである。
人生でもっとも大切なのは、人と人が接して体得する人間学であるのに、つまらぬ知的な学問だけを修得する。要するに、屁理屈だけ知って、人間を知らない。」
札幌を訪れた際に渡辺淳一文学館を訪れたことを思い出した。玄関には薄紫のライラックが咲き乱れて、初夏の訪れを告げていた。ミリオンセラーとなった「鈍感力」が展示されていた。改めてその慧眼に感心したのである。