「スピードリーディング一科学的英語の速読」(森田 勝之・吉田 研作共著)を読んだ。最近、英語は音読だと耳にすることが多くなった。はたして長文を読むには効果的なものなのか?
日本語を学びはじめた時、声を出して、日本語を読んだ。
たろうちゃんは じてんしゃに のるのが だいすき でした
た/ろ/う/ち/ゃ/ん/は/じ/て/ん/し/ゃ/に/の/る/の/が/だ/い/す/き/で/し/た/
この読み方をしているときは、文章を1度読んだだけでは内容がよく理解できなかった。こうした事情は、英文を読む場合でも全く同じであり、1つ1つの単語が読めたとしても、文全体の意味をつかめなければ、本当に読めたとは言えないと著者は説く。
そこで文章全体の意味を読み取るために、句(フレーズ)を中心とした読み方をする必要がある。音にとらわれているかぎり、スピードと理解力の向上はできないからである。
(例)下記の左の3単語を1単語ずつ読まずに、右のようにearlyに目を置き全体を一瞬のうちにとらえれば、読み時間の短縮が可能である。
the early days → the early days
◆下記の英文でスピードリーディングを考えてみよう。
Light is very important because it helps us see things. With light we know what is happening at places far away. We can use light to turn night into day. We can use it to see very small things that make us sick, or to study distant stars. Light even shows us what is happening on the other side of the earth. It gives us pictures and movies of distant people and places.
英文の後半部分で、フレーズのたて読み練習をやってみよう。
たて読み練習とは、目の左右の位置は動かさず、視線を下方向に移動させながら、フレーズ単位で意味をとっていくためのものである。
▼にそって視線を下に走らせていく。
▼
We can use it
to see very small things
that make us sick,
or to study distant stars.
Light even shows us
what is happening
on the other side of the earth.
It gives us pictures and movies
of distant people and places.
たて読み練習は各行1つのフレーズだけなので、特定のフレーズを注視できる。しかも、前後のフレーズとの意味を考えなくてはならないので、内容予測の訓練にもなる。
【大意】光が非常に重要なのは我々がものを見るのを助けてくれるからである。光によって我々は遠く離れた所で何が起こっているかを知る。光を使って夜を昼に変えることができるし、我々を病気にする非常に小さなものを見たり、遠く離れた星を研究するために光を使うこともできる。光は地球の反対側で起こっていることまで我々に見せてくれるし、離れた所にいる人や場所の写真や映画を与えてくれるのである。
(1)共通関係orがto see …とto study …をつなげているのが理解できたか?
(2)of distant people and places がpictures and movies の修飾語と理解できたか?
◆下記の英文でスピードリーディングを考えてみよう。
Light is very important because it helps us see things. With light we know what is happening at places far away. We can use light to turn night into day. We can use it to see very small things that make us sick, or to study distant stars. Light even shows us what is happening on the other side of the earth. It gives us pictures and movies of distant people and places.
英文の後半部分で、フレーズの横読み練習をやってみよう。
横読み練習とは、フレーズ単位の意味を英文の流れにそって自然につなぎ、視線を今までに学んだ要領でフレーズのある1点で停止させることによって、速読のリズムを形成させることである。
たて読みを、英文に近い横読みの形にして、視線を速く移動させたり、停止させたりして、アイスウィングを学ぶものである。
We can use it to see very small things
that make us sick, or to study distant stars.
Light even shows us what is happening
on the other side of the earth.
It gives us pictures and movies
of distant people and places.
「スピードリーディング一科学的英語の速読」では、読む速度が速くなればなるほど、目の動きの方が、音読したときの舌の動きよりも速くなり、声に出して読むことが障害になっても、読む助けにはならない。
音読は基礎づくりの段階における練習方法であり、読み方が上達するにしたがって、黙読へと移行するように訓練しなければならないと結論づけている。
最後に塾で使っている「英文解釈教室」をスピードリーディングに活かすにはどうすればよいかを述べておきたい。このテキストは、「直読直解」、つまり、英文を左から右へ訳し下すことを旨として書かれた参考書である。文構造にもとづいて、フレーズを上記のように切ることを学べば、容易にスピードリーディングをすることが可能となる。