長年教師をしていると生徒から勉強法を学ぶこともある。今日は英語の成績が飛躍的に伸びた塾生の例をお話ししたい。
高校2年生の終わりに学年最下位の成績。赤点が4科目。普通ならば進級会議は担任、親、本人の三者面談でおこなわれるところが、今までにない成績の悪さだったので、学年主任の先生と校長を交えて五者面談になった生徒T君の話である。
「T君、なぜ定期考査前に勉強しないのか。」と担任が尋ねた。「僕は定期考査が終わって復習していますから、定期前には勉強しません。」頑として進級会議の切羽詰まった状況に置かれても自分の主義は変えなかった。実力テストが良ければいいと考えていたようだ。
T君が高校3年の春に入塾した。変人は自分以上に変な人に興味を持つ。類は友を呼ぶ。私はT君とは何となく変なところが気に入り、意気投合していった。
こんなT君が1年後全国模試の英語の成績は常に受験者の1%以内に入っていたのである。30万人受ける模擬試験で3000番以内になったのである。その理由は「徹底した復習」をしたことだ。
塾では当時「即戦ゼミ3大学入試英語頻出問題総演習」(桐原書店)を100題出題(そのままの問題80題、応用20題)、20分のテストを実施していた。1問にかける時間は12秒。早く解ける者でも19分は切れなかった。この成績上位者平均95点以上に私は何回まわしたか聞いた。1回まわすとは1回終わったという意味だ。私は4,5回だろうと思っていたら、平均10回まわしていた。
T君は1年間終わったころには52回もまわしていた。やりすぎと言って他の科目の勉強に時間を充てるように言ったが、1週間に1回終わらないと気が済まないとすすめていたのである。
この英文法・語法勉強法から言えることは、4,5回まわしている者で85点ぐらいの得点。10回まわして95点ぐらいであったということ。実際に高得点者は何回も何回もまわしていたということである。
このテキストを使っている人で成績が伸び悩んでいたら、効率よく、今後まわして下さい。1回目の勉強量は2回目の半分になるし、3回目は1/3で済む。案ずるより産むが易し。やり始めると早く終わります。最低10回やらないと偏差値65はいかない結果が出ているので、早めに取り組むといいと思う。
◆新学期がはじまった。受験生にメッセージ(4月8日)
新学期がはじまった。受験生にメッセージを送りたい。今年もあっという間に3ヶ月が経過した。これからセンター試験までの9ヶ月あまりもまた瞬く間に終わることになる。
受験生の考えていることは皆同じで、夏まで部活もあるし、それから本格的に頑張れば、高校受験と同じようになんとかなるだろうと思っているだろうが、今度は現役生とは別に浪人生がいる。なかなか厳しいのである。
残念ながら浪人生になった人なら自覚していると思うが、試験日があと1ヵ月先だったら浪人せずに済んだだろうと考えている人もいるはずだ。受験は先手必勝が「合格」を呼び込むのである。この4月からの猛ダッシュが勝負を決めるのである。
◆受験生はこんなことを守ることがポイント(4月5日)
受験勉強をしていると、とかく運動不足に陥りがちだ。寸暇を惜しんで勉強しておかないと、不合格になるのではないかと恐怖心がわく。現役の高校生ならば、週に何度かある体育の授業で運動不足も解消できるが、浪人生にはそれがない。
体を動かさないとストレスがたまるので、勉強も捗らなくなる。これにはちょっと習慣を変えるのが良さそうだ。たとえば、通学途中にひと駅前で降りて2km歩く。週末は水泳やジョギングなど自分の好きな運動を心がけ、心と体の健康に努めるのだ。
長丁場の受験では、生活のリズムを整えることが大切になる。最低限、毎朝同じ時刻に起きることと質の良い睡眠を心がけることだ。なかなかすぐには習慣は変わらない。用意周到に取り組みたい。
◆現役合格グッズのつくり方(4月4日)
新学期がはじまった。勉強が乗ってきているよね。勘所がわかってくると成績は必ず伸びていく。
現役生は勉強の半分を学校でやっている。塾生に訊いた家庭学習時間は3〜5時間。まだ部活がある人は、なかなか時間が取れないのが現状だ。
時間のない受験生には、授業の合間などの「スキマ時間」の利用がかかせない。暗記科目をまとめておき、A4サイズのクリアファイルに整理する。これを下敷きがわりに利用して、「スキマ時間」にチラチラみて暗記するのがいい。現役生は時間との戦いだ。
現役で合格する人は「現役合格グッズ」の1週間分を週末の土日に作っている。要領よくやらないと現役合格はない。
「日本の若者を世界に通用する人材に」(九州大学大学院教授 久原 正治著 学生社)を読んだ。この本によれば、
明治初期の外国語教育はそもそも外国語を翻訳する日本語が存在しなかったので、法律は英語で、医学はドイツ語で講義されたとある。夏目漱石も森鴎外もこのようにして西洋の文明を直接外国語で学んだのである。
しかし明治中期になると、日本人は昨今のアジアやアフリカの人と違って、学問は外国語でやるのが当たり前だとは思わなくなった。日本の学問の発展を考える場合に大変に重要なことなのだが、時間をかけて学問を日本語に翻訳し、より多くの国民が時間も節約できる日本語によって教育を授けることが国の高等教育の方針になったのである。これによって後進国、日本は大変に教育の進んだ国になり、先進国のキャッチアップに成功したのである。
では今後キャッチアップした日本の立場はどうあるべきか。グローバリゼーションが進む中に日本は過去の成功体験から、いまだに西洋の文化を日本語に翻訳して高等教育を進めている数少ない国のひとつである。結果として、日本はグローバリゼーションの動きに取り残されているので、英語を大学の教育言語としてもっと力を入れて、グローバルに通用する人材を育てるべきと結んであった。